944 SORIANA DENIM designed by Afra & Tobia Scarpa 1950 年代の社会や大人に反発する若者と 1970 年代の カウンターカルチャーを象徴する、クロスカルチャーの 流行スタイルであるデニム。同じように現代のライフ スタイルに革命を起こしたデザインアイコン SORIANA (ソリアナ)が、そのデニムをまといました。 アフラ&トビア・スカルパがデザインしたこのソファ は、伝統的な固定観念を打ち破るものでありながら、 その革新的なアプローチはゆったりとした自由な精神 を体現しています。 SORIANA のデニム仕様は、ファッ ションとデザインにおける 2 つの類似したスタイルの 象徴を、自然に融合させたものなのです。 SORIANA の特徴的な曲線には、デニムの専門家の サポートの下で選び抜かれた、優れた品質で知られる 日本製の高級デニムが使用されています。丈夫で耐久 性に優れたこの生地は、セルビッチデニムを生産する ために使用される小型のアンティーク織機で丹念に 織られたものです。外側の縫い目に沿ってしっかりと 織られたセルビッチトリムが施され、赤いラインが 側面の輪郭を描きながら特徴的なディテールをさらに 際立たせています。 縫製された生地は、専門のランドリーに送られ軽石 と洗うことで柔らかい風合いに仕上がります。また、 クルミの殻などの有機廃棄物を回収した副産物を使った サンディング工程を経て、使い古したジーンズのような 色あせた風合いに仕上げられます。 カッシーナ・ラボが手がけた SORIANA デニム仕様 の構造部分には、環境への配慮はそのままに、循環 型の素材を採用しています。この素材は耐久性に 優れ、生分解性があり、ライフサイクル終了後は コンポスト(堆肥化)が可能です。また、プラスチック バンク ® から回収された 100 %リサイクル PET ブロー イングファイバーパッドが、快適な座り心地を提供。 この素材は、ソフトキルトのように内部構造を包む スリップカバーにも使用されています。 SORIANA の曲線的なフォルムを包み込む柔らかな 張地は、大きな金属製の支柱で固定されています。 テーラードジャケットのように、ソファの背面には カ ッ シ ー ナ の ロ ゴ と「 ci-mò-sa 」( イ タ リ ア 語 で セルビッチの意)、生産年を記したシルクラベルが 4 針で縫い付けられています。 TOBIA SCARPA トビア・スカルパ 1935 年、イタリア・ヴェネチア生まれ。 建築家・デザイナーのトビア・スカルパは、 1969 年にヴェネチア大学を卒業し、同年、カッシーナの ためにデザインしたアームチェア SORIANA でコンパッソ・ドーロ賞を受賞。その後も妻のアフラと 数々のデザインを生み出し、ルーヴル美術館の「リベルタ」チェアをはじめ、世界の主要美術館で 彼のデザインの数々を見ることができる。建築家としては、ベネトングループのためにカストレット・ ディ・ヴィローバ(トレヴィーゾ)の工業地帯と生産工場を設計するなど、公共と民間の両方の クライアントと協業。現在でも、ベネトンの施設は美的・機能的に優れた例として紹介される、世界で 最もエキサイティングな産業建築の一つである。
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